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精神科医のニア・ミス

「精神科医のニア・ミス」第三回

タイトルアイコン見えない恐怖に慌てる〜栃おとめ(イチゴ)でひと息〜

「星の王子さまとサンテグジュベリ」の銅像

「星の王子さまとサンテグジュベリ」の銅像

 仏作家サン=テグジュペリの「星の王子様」のテーマは、大切なものは目に見えない、和風に味付けすれば、大切なものは心眼で見極めよと言ったところか。

 目に見えないといえば放射能汚染。東電と政府がさんざん非難されてきたのも、放射能という「透明な毒」への対応が不透明なためで、ま、お手上げというのが本音かもしれないが、何とも困った事態である。

 チェルノブイリ原発事故の実害検証も難しく、EBM(証拠に基づく医療)では、今のところはガンなど放射線被害は危惧していたほど多くはないという報告もある。福島第1原発事故では、諸外国が早い段階で自国民に帰国を促した。彼らの動きや政府広報を調査していた女性記者が、過呼吸、めまい、動悸などパニック発作で東京から帰郷した。これは強烈な不安焦燥が原因で、風評被害と同根、彼女も含め国民の大半が「身体表現性不安障害」に陥っている。「治療」には「目に見える」早わざがモノをいう。

 今回の震災で自治医科大学では、へき地医療集団である同窓会が最初に動いた。連絡が取れない三陸の仲間、亡くなった仲間に、居ても立ってもいられない思いでヘリを飛ばし続けている。こうした即効的な動きは、現地で踏ん張る関係者すべてを励まし、グランドから空へ飛び立つ先輩の姿は学生たちにも好い刺激だ。米国のトモダチ作戦と同様、孤立感やストレス解消に貢献する。

 だが一方の買いだめ。買い物がストレス解消という人も少なくないが、日本人の美意識「譲り合い・遠慮」からすれば、今の買いだめは、みっともない、もったいない、情けない…。武士は食わねど高楊枝。パンは食わねど栃おとめ。「浜までは、海女も蓑着る時雨かな」そう慌てなさんな、今はオールジャパンだろ…滝瓢水(たきひょうすい)の声が聞こえるようだ。頑張れ東日本!

尾根白弾峰
尾根白弾峰
  • 旧・大内町出身 本荘高校卒
  • 1980年 自治医大卒
  • 秋田大学付属病院第一内科(消化器内科)

湖東総合病院、秋田大学精神科、阿仁町立病院内科、公立角館病院精神科、市立大曲病院精神科、杉山病院(旧・昭和町)精神科、藤原記念病院内科 勤務
平成12年4月 ハートインクリニック開業(精神科・内科)
平成16年〜20年度 大久保小学校、羽城中学校PTA会長


プロフィール

 1972年、第1期生として自治医科大学に入学。長い低空飛行の進級も同期生が卒業した78年、ついに落第。と同時に大学に無断で4月のパリへ。だが程なく国際血液学会に渡仏された当時の学長と学部長にモンパルナスのレストランで説教され取り乱し、パスポートと帰国チケットの盗難にあい、なぜか米国経由で帰国したのは8月だった。
 ところが今の随想舎のO氏やビオス社のS氏らの誘いで79年、宇都宮でライブハウス仮面館の経営を始めた。20名を越える学生運動くずれの集団がいわば「株主」で、何事を決めるにも現政権のように面倒臭かった。愉快な日々に卒業はまた延びる。
80年8月1日、卒業証書1枚持たされ大学所払い。退学にならなかったのは1期生のために諸規則が未整備だったことと、母校の校歌作詞者であったためかもしれない。
 81年帰郷、秋田大学付属病院で内科研修を経てへき地へ。間隙を縫って座員40名から成る劇団「手形界隈」を創設、華々しく公演。これが県の逆鱗に触れ最奥地の病院へ飛ばされ劇団は崩壊、座長一人でドサ回り…。
93年に自治医大の義務年限12年を修了(在学期間の1倍半。普通9年)。2000年4月、母校地下にあった「アートインホスピタル」に由来した名称の心療内科「ハートインクリニック」開業。廃業後のカフェ転用に備え待合室をギャラリー化した。
 地元の路上ミュージカルで数年脚本演出、PTA会長、町内会や神社の役員など本業退避的な諸活動を続けて今日に至る。
 主な著作は、何もない。秋田魁新報社のフリーペーパー・マリマリに2008年から月1回のエッセイ「輝きの処方箋」連載や種々雑文、平成8年から地元医師会の会報編集長などで妖しい事柄を書き散らしている。
医者の不養生対策に週1、2回秋田山王テニス倶楽部で汗を流し、冬はたまにスキー。このまま一生を終わるのかと忸怩たる思いに浸っていたらビオス社から妙な依頼あり、拒絶能力は元来低く…これも自業自得か。


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