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おもしろ日本美術

おもしろ日本美術2 第十九回

釉下の染付の青と上絵の赤絵のベスト・マッチング

色絵梅竹鳥文輪花皿

梅竹に小禽

梅竹に小禽

 染錦手の秀作には、「色絵三果文皿」、「粟鶉文八角皿」、「色絵花卉文大皿(渋右衛門手)」、「色絵桐亀甲文大皿(同)」などが知られているが、本品も釉下の呉須(染付)と上絵の赤や黄、緑の色のバランスと筆勢が小気味よい佳品。染付はぼかしダミの手法で自然なグラデーション。梅竹に小禽でやはり吉祥画である。裏面周囲は花を付けた枝に小禽を配した愛らしい和風の染付の繋ぎ文で(唐草の繋ぎ文のものも紹介されている)、高台中央に渦福銘、目跡は3つである。
 同類品が旧加賀前田藩邸遺跡(東京大学本郷構内)の天和二年(1682)の火災の廃棄物土層中に見出されて、また、南川原柿右衛門B窯物原から本品同手品のずばりの陶片も出土している。
 また、本品の花鳥の図様は、ドイツへッセン州立博物館(カッセル)蔵尺五の大皿「色絵竹梅鳥椿文皿」(4枚)の中央見込部分と一致。カッセルの大皿は、見込を囲む周辺部にはやはり左右横に枝を連ねて咲き誇る梅と、赤と黄の大輪の花に青系二色で愛らしい葉をあしらった美麗な椿を装飾的に描いている。膨大なヘッセン方伯蔵品のうちのヴィルヘルム8世陶磁器コレクションの一名宝であるが、17世紀末のヨーロッパ向け有田磁器の特需期にオランダ東インド会社を介してヨーロッパに送られた一連の色絵磁器に組するものとみて自然であろう。
 なお、「元禄柿」と通称される作品群については、藩御用窯の品質テコ入れに協力要請(元禄6年の手頭< 指令書> が伝わる)のあった柿右衛門窯が斬新なデザイン開発を試みた意欲作の数々と思われ、藩窯色鍋島との近似が顕著である。(「柿」の一字と元禄六年、八年、十年、十二年等の年紀が高台内に記されるものあり)
  • カッセル美術館蔵品

    カッセル美術館蔵品

  • 染錦手の上手品

    染錦手の上手品

  • 元禄柿の優品

    元禄柿の優品


上野 憲示
上野 憲示

1948年、大阪生まれ。

東京大学文学部美術史学科卒業。栃木県立美術館学芸員。東京大学、清泉女子大学などの非常勤講師(美術史学・博物館学担当)を経て、現在、文星芸術大学学長ならびに芸術理論専攻教授。

著書に『鳥獣人物戯画(日本絵巻大成六)』(中央公論社)、『渡辺崋山の写生帖』(グラフィック社)、『ハイビジョン鳥獣人物戯画』(ハイビジョンミュージアム推進協議会)、おもしろ日本美術1(文星芸術大学出版)など、美術史家、美術評論家として活躍。


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