行きつけのテニスクラブもスポーツジムもコロナで営業自粛ときて私は公園を歩くしかなかった。幸い拙宅から徒歩または車で10分程に市立・県立公園が5つもあり大助かりである。だが人口減クマ天国の秋田では早くもクマ出没警報だ。
しかし今や熊よりマスクが多い。「公園でクラスターが発生した例はない」と診察以外はマスク拒否の私を家人は非難する。ノーベル賞の中山伸弥教授はコロナで死ぬ日本人が少ない原因をファクターXと呼ぶ。女らの口やかましさもⅩか。
だがわが家の悩みは熊でもマスクでもない。チワワのチコ2才♀3㎏弱だ。家の前を通る人や犬・猫に吠え威嚇する。おまけに敏捷で、相手かまわず飛びかかろうとし何度か危険な場面もあった。娘が強く抱っこしても他の犬が目に入るや瞬時に凶暴化し、娘の腕は生傷が絶えない。悩んだ末、トレーナに出張指導を依頼した。が、無駄であった。先日はついに烏の群れに襲いかかろうとリードを振り払い家人を唖然とさせた。
人と犬が見つめ合うと双方の脳に気分を和らげるオキシトシンが噴出し、犬も穏やかになるという。そこで散歩中、人や犬とすれ違う度に私は身をかがめてチコに語りかけた。「おとうさんの目に集中しろ!」するとチコの関心が私に向かい、好結果を得た。もっとも、チコはオキシトシンや「集中!」より私の大声に驚いただけかもしれない。
敵意を持って相手を睨むことを、眼(がん)をつけるといい、サルの社会では目を合わせた瞬間に互いの力関係を察し、ケンカを避ける場合が多い。だが見極めが下手な人間は命を賭して戦うことがあり、チコも力関係に鈍のようだ。
目といえばルーベンスとフランシスコ・デ・ゴヤの同名の絵『わが子を食らうサトゥルヌス』。ルーベンスの方は食われる子の怯えた目が、200年後のゴヤの方は食う親の目が鬼気迫る。NHKの叱るチコちゃんに似た目で今日もチコに吠えられ、長女が撮影してきた八幡平の『ドラゴンアイ』(写真)にも平気なチコ。いつか鬼気迫る目にあわせてやる!
20-06-10 レター49
鳥海山・元滝伏流水に至るまで何人何匹に吠えたことか…
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その結果いただいた秋田名物
油断状態のチコは、ま、サマになるのだが