小股の切れ上がったいい女がいる。身ごなし軽く背筋はピン、とても83歳には見えない。若い時分に踊りの真似事をちょいとねという独居。お金はある。ワクチンではファイザーかモデルナかと神経質だったが時事に通じ、先日は「プーチンの魂胆ねえ」とウクライナ侵略事件で気炎を吐いた。
ウクライナが先に手を出したからロシアは反撃している、学校や病院や原発への攻撃はウクライナの自作自演だと言い張り、「人道回廊」の避難民を爆撃してウクライナは自国民を人間の盾に利用している、停戦協議を拒否しているのはウクライナ、非軍事化と非ナチス化が条件とかぬけぬけと…そう、今朝、傷ついたウクライナの子供の写真にテレビの女子アナが声を詰まらせていたわ。現地の生々しい映像に世界中の目が釘付けになっているというのに、ドーピングと同じでプーチンもラブロフもウソ八百並べて恥じない…。
日本でも戦国時代はウソ調略が花盛りで、武田信玄は敵が四柱推命から戦わないと決めた日を狙って攻めたというけど、どうすりゃいいのかねえ。「プーチン暗殺」と彼女は囁く。あいつを呪い殺そうと護摩を焚いて祈祷している寺があるみたい。でも効果は今ひとつ。戦闘機を送る案は核兵器をちらつかされ欧米は腰が引け、撤退企業の国有化は「戦時法」で当然の権利といい、国内には「特別軍事作戦」で戦争ではないとウソをつく。制裁に加わった日本も非友好国リストに挙げられてビビる、世界経済から遮断されルーブルは下落、ソ連崩壊時に戻るというけど、ほんとにプーチンは歴史に名を残すわ…。
『紳士の品格3』
中国の小話を題材にした笹川陽平著『紳士の品格3』に『世界各国の選挙事情』というのがある。
米国「我々は午前に投票して夕方には誰が大統領に当選するかが分かる」。中国「我々は投票の1年前に誰が国家主席になるか知っていた」。北朝鮮「我々は投票しなくても小さい時から誰が首領になるか知っていた」。日本「年に何度も投票しているが、誰が首相になるかなかなか分からない」。ロシア「我々の国では大統領が疲れたら首相になる。首相に飽きたら大統領に戻る」。キューバ「国の指導者は交代できるものだろうか」
チャップリン『独裁者』
ウクライナのゼレンスキー大統領は元コメディアンだ。チャップリンがヒトラーを演じた『独裁者』のプーチン版を彼が演じて映画化し、急ぎ世界中に配給したらどうか。コメディアン最大の武器は権力者を笑い者にすること。プーチンより役者が一枚上の彼は口角泡を飛ばして演説する。
…兵士たちよ、獣たちに身を託してはいけない…奴らは君たちを仕込み、君たちを家畜として、単なる駒として扱うのだ…奴らはウソをつく。約束を果たさない…兵士たちよ、奴隷を作るために闘うな…理性のある世界のために闘おう…
『独裁者Ⅱ』はヒット間違いなし。収益はウクライナ復興に役立つ。ゼレンスキー大統領閣下、あなたの出番は今すぐ、銀幕です! (2022/3/16)
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