日曜朝7時から1時間余り、80歳前後のテニス仲間と秋田山王テニスクラブのインドアコートで朝練を10年以上続けている。盆前のある日、77歳のおじさまが嬉しそうにぼやいた。「昨日3年ぶりにイギリスから娘とやってきた孫に驚いた。最後に会ったのは12歳の時で、顔は私によく似ているとひそかに思っていたのだが、15歳の今はもう背が伸びて鼻もツンと高くなって、ベルギー人の父親そっくり。3年のブランクは大きい」
こんな話はコロナの時代になって患者からもよく聞く。3年も会わなかった外孫は小学5年から中学2年になり、あの甘えん坊が体格も喋ることもすっかり大人びちゃって…という訳である。それでなくても子供は中学生になると部活などで交友関係が拡がり、親の実家を訪ねる機会も減りがち。疎遠になった孫に「ご無沙汰ね」とつい漏らしてしまう事情が、コロナで強制されてしまった。
昔、当クリニックで小中学校の養教(養護教諭)10名による『愚痴こぼし会』を2年間やった。扱いに困る生徒の事例を出し合い、解決には至らなくても話題にすることで気が楽になればと小児科医と精神科の私が企画した。問題児は担任の手に負えないと学年主任、教頭の手へと渡り、最後は養教。養教には後がない。愚痴の一つもこぼしたくなる。会は評判になり参加希望も増えたが、多すぎると発言しにくくなると人数は制限した。小学校から中学校へ進む事例の引継ぎの場にもなった。ある養教は「卒業まで散々てこずらせておいて、成人してばったり出くわすと、先生、お元気でしたかなんてケロッとしてー。変化のない大人と違って子供は20歳まで成長を続ける」と口にしていた。
3日見ぬ間の桜かな。本川達雄先生の「ゾウの時間・ネズミの時間」によれば、ゾウもネズミも生涯の心拍総数は同じで、機敏さが勝るネズミはゾウより寿命が短い。この伝で行くと、ネズミの時間を生きる孫と、ゾウの時間を生きる祖父母を3年も会えなくしたコロナは罪が重い。ある芸文協会長は「文化祭を2年間休んだら半数の団体が解散していた。感染を恐れて高齢者の行事を中止したことは取り返しがつかない」と悔やむ。2022/8/27
阿弥陀池1530㍍(秋田駒ケ岳1637㍍ 7月30日)
一日市盆踊り前夜祭・サンバチームとカポエラ隊
(八郎潟町・8月17日)
孫(-)院長のサンバ友コータとヒナちゃん
雨に祟られながらもさすがだった大曲の花火(大仙市 8月27日)
22-08-30 レター72A