仏作家サン=テグジュペリの「星の王子様」のテーマは、大切なものは目に見えない、和風に味付けすれば、大切なものは心眼で見極めよと言ったところか。
目に見えないといえば放射能汚染。東電と政府がさんざん非難されてきたのも、放射能という「透明な毒」への対応が不透明なためで、ま、お手上げというのが本音かもしれないが、何とも困った事態である。
チェルノブイリ原発事故の実害検証も難しく、EBM(証拠に基づく医療)では、今のところはガンなど放射線被害は危惧していたほど多くはないという報告もある。福島第1原発事故では、諸外国が早い段階で自国民に帰国を促した。彼らの動きや政府広報を調査していた女性記者が、過呼吸、めまい、動悸などパニック発作で東京から帰郷した。これは強烈な不安焦燥が原因で、風評被害と同根、彼女も含め国民の大半が「身体表現性不安障害」に陥っている。「治療」には「目に見える」早わざがモノをいう。
今回の震災で自治医科大学では、へき地医療集団である同窓会が最初に動いた。連絡が取れない三陸の仲間、亡くなった仲間に、居ても立ってもいられない思いでヘリを飛ばし続けている。こうした即効的な動きは、現地で踏ん張る関係者すべてを励まし、グランドから空へ飛び立つ先輩の姿は学生たちにも好い刺激だ。米国のトモダチ作戦と同様、孤立感やストレス解消に貢献する。
だが一方の買いだめ。買い物がストレス解消という人も少なくないが、日本人の美意識「譲り合い・遠慮」からすれば、今の買いだめは、みっともない、もったいない、情けない…。武士は食わねど高楊枝。パンは食わねど栃おとめ。「浜までは、海女も蓑着る時雨かな」そう慌てなさんな、今はオールジャパンだろ…滝瓢水(たきひょうすい)の声が聞こえるようだ。頑張れ東日本!
「星の王子さまとサンテグジュベリ」の銅像