東北の代表的な夏のお祭りを一堂に集め、市内大通りを往復2時間パレードする9月の能代おなごりフェス。青森ねぶた、秋田竿灯、花輪ばやし、酒田ばやし、地元中学生の能代七夕、盛岡さんさ、仙台すずめ踊り、それに浅草カーニバル横浜サウヂ(ブラジル人女性らダンサー10名と打楽器隊バテリア20名)など11団体、2500名が今年も出演した。人口7万人の能代に27万人の観客である。
縁あって5年前から客ではなく“出演者”の1人 として横浜サウヂに参加している。その演奏レベルは凄まじく、今年も楽器はあきらめ世話係のアルモニア。先頭の旗持ちポルタ・バンディラに続くダンサーと、最後尾のバテリアや歌手との距離は伸び縮みする。隊列全体の運行を統括する監督ヂレトールは目立つように衣装もド派手。過去2回やった。運悪くそんな主治医を見つけた患者は目が点になる。
26年の歴史を誇るおなごりだが、昔から批判はあった。基幹産業の林業衰退や人口減に悩む中、金のかかるバカ騒ぎが地域活性化に寄与するのか…。実際、年々予算はひっ迫、存続の危機が叫ばれている。しかし一方で「このダイジェスト版を見て本場の祭りに出かけた」という人は多い。
こうした事情をよそに出演常連の楽しみは慰労会である。今年も300人超がホテル大広間に集まった。舞台に地元スタッフ陣が上ると労をねぎらいフロアから大きな拍手。続いて各団体が芸を披露する。仙台チームはIOC総会を再現、7年後のおなごり会場に立候補したマドリード、能代、イスタンブールから、ロゲ会長役が恭しくカードを裏返すと、「2020能代」。サウヂのバテリア超絶技巧に全員総立ちで踊り、青森ねぶたでは床が抜けそうなまでに跳ね、0時を過ぎる。来年も会おうと握手を交わして2時間半の宴は終了した。
ロンドン五輪メダリストたちの銀座パレードでは沿道を50万人の観客が埋めた。それが、私ごとき小市民が27万人の中を…。乞食と芸人は3日やったらやめられないとはよく言った。
能代おなごりフェスティバル
筆者
懇親会