秋田3大盆踊りのうち羽後町の西馬音内(にしもない)盆踊りと鹿角市の毛馬内(けまない)盆踊りは客と踊り手が全国から押し寄せるので有名だ。残る1つは我が家から電車で北へ10分の八郎潟町一日市(ひといち)盆踊り。今年も8月18日から3日間開催され、私も参加したが、近隣住民が踊るだけで全国的な知名度はやや低い。だが特徴がある。
1つは奇抜な衣装などで仮装すること。もう1つは町内会や中学生の部活など各種団体が声を揃えて「歌いながら踊る」ことだ。~デンデンジコジコ~盆の13日正月から待ちた、待ちた待ちた13日、今来たか~「デンデンヅク」「キタサカ」「三勝」の3つの踊りが夜8時から10時まで続く。
6年前、友人の歯科医らが協賛者を募って17日に前夜祭を始めた。フラダンス、ベリーダンス、ボリビアダンス、ブラジルダンス、フラメンコ、秋田音頭と続き、取りはサンバ。打楽器隊バテリアは私たち秋田在住者で、浅草カーニバルの派手なダンサーとけたたましい音で会場は興奮のるつぼと化す。サンバチームは商店街を1時間パレードもする。
人口減で盆踊りは全国的に減っていると聞く。秋田の詩人あゆかわのぼる氏は、「地域を元気にするのは若者、バカ者、よそ者」という。確かに前夜祭を発案した歯科医も私も八郎潟町出身ではない。同町には盆踊りの他に「願人(がんにん)踊り(国文祭秋田2014の目玉)」や「路上ミュージカル(昨年20年の歴史を閉じた)」もあり、いずれも実行委員会の中心は若者。7月の土崎湊祭、9月7~9日の角館曳山(やま)ぶっつけも祭りバカの丁内若衆が仕切り、他地域の祭りと比べ高齢者の関与が薄い。その分、運営も柔軟である。
誘致企業と共に移住してきた江戸っ子の友人は、「還暦前後の我々よそ者が祭りバカに交じって汗を流すのは、ここで楽しく暮らしたいから」と言うが私も同感だ。今年は盆踊りで初の2等賞と賞金をゲット。大胆な仮装にも拘らず「先生、がんばれ!」と何人もの患者に声をかけられた。こんな精神科医を翌日、何食わぬ顔で受診するから世の中わからない。
前夜祭サンバ
前夜祭全員集合
一日市盆踊り
2等賞ゲット!(左が筆者)