本業の方は一体どうなっているのかと同業者に時々いわれるが、5月のお祭り騒動が終わった直後から私はブラジルの打楽器カホーン(木箱)の稽古に没頭した。6月6日に銀河館という秋田市内の店でライブがあったからである。
秋田市の北20キロに位置する八郎潟町では毎年お盆に浅草カーニバルのダンサーを招いてサンバのパレードを行う。ライブ当日はその演奏団(バテリア)仲間やボサノバのグループと店で合流した。午後7時ころ、誰が合図した訳でもなく1人がカバキーニョという小型ギターを弾き始め、フルートがメロディを奏でると、女性がポルトガル語で歌い、パンディロ(タンバリン)、大太鼓スルド、小太鼓ヘピニキとタンタン、カホーンが加わる。
私たちの師匠は打楽器のインストラクターで、浅草カーニバルでは『横浜サウージ』のボーカリストとして活躍する才人である。今夜は彼も演奏の指示は特に出さない。演奏の合間に飲んだり食べたりしていると、酔っぱらった5人の男女がナイロンのバチでタンボリンを叩き、豆入りペットボトルのガンザをシャカシャカ、金属の打楽器アゴゴをキンコンカンコンやりながら入ってきた。やがてその中の坊さんが歌い始め、他にもいろんな楽器10種ほどが重なり、演奏の合間に喉を潤し、10数名が同じリズムを刻み、身をゆする。ワクワクする初めての『パゴーヂ』ブラジルの宴会芸であった。
これは老人の脳にはいい刺激になり、導入している介護施設もある。少人数の気楽でリズミカルな合奏は、体の底に沈んでいた快感を呼び覚ますのだろう。気が付くともう10時だった。
そして6月25日、八郎潟町隣の五城目町で開催された朝市の祭りに私たちは参加した。朝10時から青空の下である。そばで大音量の和太鼓が始まると中断し、それが終わるとパゴーヂ。笛太鼓のお囃子が始まるとまた中断。神輿が練り歩き、神社の境内は小学生の奉納相撲で賑わい、合間にパゴーヂといった具合で、銀河館ライブとはちょっと違う雰囲気の中でのんびり1時間半ほど楽しんだ。同業者や患者にばれないようサングラスをして。
パゴーヂの前にまず乾杯(秋田市銀河館)
銀河館ライブ
パゴーヂ演奏中
親が歌い子はタンバリン
次の出番を待つ
その合間に和太鼓が鳴り相撲選手が走る