八郎湖を見下ろす高台に災害時避難所を兼ねたスポーツジム『トレイク潟上』がオープンしたのは昨年10月。トレッドミルなど運動機器27台の他、会議室や大ホール、デイサービスもあり連日賑わっている。拙宅から車で5分、潟上市民は1日200円、半年会員6千円。私も発足時に入会し週1、2回利用している。娘や友人らは月額6千円もする秋田市内の民間ジムからトレイクに切り替えた。典型的な民業圧迫である。
先日も娘と顔を出したら事務長が「先生、今日はNHKがレスリングの女子選手を取材に来ます。よろしく」という。私はクロストレーナー、娘は筋トレを開始。そこへNHKのクルー5名が現れ、選手が運動する様子を撮影し、インタビューも始めた。事務長の挨拶を忖度した私は一利用者として質問を受けた場合に備え回答を3つ考えた。
1つは7月に計画している鳥海山登山の準備。もう1つは運動後にビールを美味しく飲むため。3つ目は古稀が近い自分の認知症予防である。あいにく私へのインタビューはなかったが、認知症については有効なケースが2例あった。
2年前から軽度認知症で通院中の男性77才は大相撲の大ファンで、年3回両国に出かけていた。それが次第に上京を面倒がり、外出も減って物忘れが進んできた。薬にも反応せず散歩を勧めてもダメ。ところがトレイクのデイサービスに週3回通い始めて2カ月後からどんよりした顔が冴えてきた。居間で寝転がってばかりいたのが妻の食器洗いを手伝い、ゴミ出しを再開したので付近住民も驚いた。
40代の娘と暮らす男性78才はもの忘れに加え些細なことに腹を立てるようになった。2月からここのデイサービスを開始したところ4月には怒りっぽさが改善、テレビの朝ドラを見るようになった。親族から「薬がよく効いているようだね」と言われた娘は、「薬より運動のお陰だと思う」という。
ジョンJ・レイテイ著『脳を鍛えるには運動しかない』には「運動をすると気分がすっきりすることは誰でも知っている…心臓から血液がさかんに送り出され、脳がベストの状態になるからなのだ」と書いてあるが、これは要するに、運動で体が汗をかくと脳も汗をかいているということである。ま、脳みそは汗をかかないにしても、脳の活動とは脳細胞間の連携だから、眠っていた神経回路が体の運動によって活性化したとはいえるだろう。この本では、米国のある高校で朝の授業前に15分間運動させたクラスと従来のクラスに半年後、同じ試験を行ったら運動したクラスの成績が上がったという結果も示している。登山とビールのためだけでなく、お互い、もっと汗を!
トレイク潟上
機材が並ぶ運動室
トレイク隣の土俵へ通じる階段
トレイクの日本海側に広がる大潟村の菜の花ロード
一読の価値あり
うるさい、ずるがしこい、落ち着きない、本をかじる、ウンコを食う、私に全然なつかないチコ