アートセンターサカモト 栃木文化社 BIOS編集室

「栃木のステキ」No.5

「もの造り」の楽しさを子どもたちに伝えたい ―ステンドペーパーアートKDM主宰者 兒玉健司さん―

緻密な模様、幻想的な光を放つ作品

「一体、何でできているのですか?」と訪れるお客様は、美しい光に誘われて不思議そうに作品を覗き込む。光を通してみる作品は緻密な模様で浮き彫りにされ、幻想的な光を放つ。10月9日~14日にホテルニューイタヤ(栃木県宇都宮市)のロビーで、展示会が行われた。宇都宮市の「シルバー大学」のクラブで講師を務めていた兒玉健司さんと受講生OBのペーパーアート作品であった。

作品の外側の紙と中に入れた和紙などの組み合わせなどで、さまざまな模様と色が複雑に溶け合い美しさを際立たせている。兒玉さん自らが生み出したステンドグラスのようなペーパーアートは児玉さんの力作であった。

「まず、イメージする作品をデザインしてパソコンで図面を起します。それからデザインカッターによる手切りまたはレーザーマシンで切り抜き、胴体部分はアクリルなどで色付けをしていきます。実は長い間、機械設計に関わっていましたので……」と話す兒玉さん。その図面の正確さや模様の対比の美しさは抜群である。

また、絵画として展示されている作品は、線の組み合わせの陰影で立体的に見え、その描写方法は特許申請済みのオリジナルである。一方、幾何立体造形の作品は、子どもたちに「もの造り」の楽しさを教えるための作品であった。

「機械設計をする傍ら、趣味ではじめたペーパーアートの道だった」と語る兒玉さん。その緻密な機械設計で培われたペーパーアートの誕生は約10年前に遡る。

「好きでなんとなくペーパーアートを作っていましたが、ある日、私の作品を見た友人が、大変ほめてくださり、ぜひ、多くの人に見てもらいたいと話をすすめて、展示会を開催するようになりました」

無から有をつくる

友人たちの協力で栃木県さくら市の「喜連川道の駅」で7回もの展示会を開催してきた。そして、今回はホテルニューイタヤでの展示会となったが、作品を出展した受講生のひとり、谷あけみさんは、「この美しい紙のアートに魅せられ、兒玉先生に教えていただいております。教室を通してたくさんの方々と知り合うことができるのも楽しみのひとつですね。特に『もの造り』の楽しさを子どもたちに伝えたいという先生の幾何立体造形は、子どもたちが自分で考え、自分で造ってみたいという強い好奇心を芽生えさせています」と、谷さん自身も教職者(7年前に退職)であったことから、ペーパーアートが子どもたちの「もの造り」の原点を担うことができると高く評価している。

兒玉さんは「一枚の平面な紙から、図面を起こして、立体の造形を造るおもしろさです。子どもたちは、この図面からこんな立体アートができるのか!と驚きます。また、この立体にはどんな図面を作ればできるのかな?などと真剣に考えて取り組みます。ものを造る楽しさが広がってほしい」と、子どもたちのための、さまざまな作品を創作している。

ちなみに、全国の和菓子工場で使用されているレオン自動機の「まんじゅう」をつくる機械の設計は、兒玉さんの設計(現会長との試行錯誤による研究成果)である。また、ロッテの「パイの実」をつくる機械や、富士重工製造の飛行機「YS11」の構造内部設計、組み立て冶具やパーツリストの立体図面等、兒玉さんが設計した機械は、私たちの身近なものから世界に羽ばたくものまで。

「『もの造り』の原点は、『無から有をつくる』というおもしろさです。形も色も自分で創造していくことです。子どもたちにその『もの造り』の楽しさを継承させていきたいと思っています」と語る児玉さん。受講生の一人ひとりも、その原点から個性豊かなペーパーアートの作品を展示していた。

展示会場ホテルニューイタヤで「もの造り」を語る

ステンドグラスのようなペーパーアートの作品(児玉さん作)

明かりを入れるとステンドグラスのようなペーパーアート

子どものための造形

幾何立体造形と図

三角垂の組み合わせのアート(壁かけ用)

立体的に見える図案

ステンドぺーパーアートを使用している店内

レストランで実際に使われているステンドペーパーアート

後方は展示会場で美しい作品に魅せられる来場者たち

児玉さんを囲んでペーパーアートの受講生たち。右から浅見保之さん、石郷岡廣明さん、谷あけみさん、児玉さん、ホテルニューイタヤ猪瀬支配人

ステンドペーパーアート・スイホーアート

幾何立体造形・もの造り提案資料・逆流観察

http://hsi-art.com/

OB人材支援登録 中小企業もの造り技術を支援

代表 兒玉健司