ふくべ細工と郷土玩具「黄ぶな」
ふくべ細工とは夕顔の実を乾燥させたもの、夕顔の実をむいて干したものが干瓢でこれは栃木の特産品です。父親の時代は種を取るために残しておいたふくべを利用していました。いわば廃物利用だったわけです。干瓢は石橋や上三川が産地ですがふくべ細工職人は宇都宮市に集まっていました。今ではその職人も私をふくめて二人となりました。
現在ではふくべ細工専用の夕顔の実を農家に作ってもらっています。茶道の初釜の炭とりはその年に作られたふくべを使う習慣です。
50才の時、下野手仕事会顧問で民俗学者の尾島利雄先生に勧められて廃絶していた宇都宮の郷土玩具「黄ぶな」を復活させました。以前黄ぶなは浅川仁太郎さんが一人で制作していましたが、亡くなった後は後継者がなく途絶えていました。
毎年正月には二荒山神社の境内で売られています。厄除け病気除けとして縁起物として人気があります。黄ぶなは魚の形をしたはりこで作られています。木型に紙をはり膠(にかわ)と胡粉で下地を塗り、黄・赤・みどりの染料で仕上げます。豆太鼓も併せて制作しています。
(文:小川 昌信/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P38-39より)