「伝統と文化―下野手仕事会―」No.16
渋井 収 -箕-
箕作りの伝統を守っていきたい
私が作る箕は通称、藤箕と呼ばれるもので主な材料は篠竹、藤つる、ヨツドミ、桜の皮などです。それらの材料は雑木山自生しますが、取る時期があり、その時期を逸してしまうと良い作品が作れません。
その自然の材料を確保するのが一苦労です。箕作りの工程は取ってきた篠竹をナタで細く割り、内側の肉を削る、藤つるは手で大まかに裂き小刀で内側の皮を取り除く、そしてこの篠竹を経糸(たていと)状に通し藤の皮を緯糸(よこいと)状に、打ち付け棒を用いて編み込んでいく作業です。
箕作り職人は、今では県内で私一人となりました。全国でも数人となり各地より注文が入りそれなりに忙しく、一日何枚も出来ないので対応に苦慮しています。
一時は箕作りを止めようと思った時期もありましたが、続けていて良かったと強く感じています。
後継者がいないので淋しいですが、少しでも長く体の続く限り、箕作りの伝統を守っていきたいと思っています。
(文:渋井 収/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P48-49より)
下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』
- 発 行 日
- 2013年9月1日 第1刷発行
- 編 集
- 下野手仕事会四十周年記念誌編集委員会
- 発 行 人
- 下野手仕事会
- 編集・制作
- 有限会社 アートセンターサカモト
- 〒320-0012 栃木県宇都宮市山本1-7-17
- TEL:028-621-7006 FAX:028-621-7083
[定価]本体2,000円+税
©Shimotsuketeshigotokai.2013.Pronted in Japan
ISBN978-4-901165-06-8
◇問い合わせ先
下野手仕事会 会長 藤田眞一 TEL:0287-93-0703
(有)アートセンターサカモト TEL:028-621-7006
渋井 収
昭和17年、市貝町生まれ。昭和37年、祖父渋井金次郎、父時四郎の指導のもと箕作りの道に入る。平成5年、第20回日本民具学会大会で箕作りを実演、好評を博す。同17年、市貝町無形文化財指定。同年、栃木県伝統工芸士に認定。
〒321-3426 芳賀郡市貝町赤羽1996
TEL:0285-68-2268