栃木博と焼物との出会い
栃木博覧会開催の1年ほど前、時の旧氏家町長さんより、「来年、開催される栃木博覧会に、各市町村の特産コーナーが出来るので、何か町の特産を考えてくれないか?」との電話がありました。町長さんは私が物好きであることを知ってのことでした。
さて何にしようか?食品、民工芸、木工と、何の経験もない私の頭の中はいっぱいになりました。
子供の頃を思い出し、山に遊びに行くと、昔の人が焼き物で茶器などを作った場所があり、そんなことから、野の草花を押絵にしたら、木の葉石の様な形のものが出来るのでは、と考え、焼物の土を求め、木の葉や草花を押形し、焚き火で素焼きした作品が出来ましたが、さて、本焼にするのはどのようにしたらいいのか。半年考えたが、出来ずにコンクリートに作品をたたき付けました。其の一片にヒントを得、それなりの作品が出来るようになり、栃木県より作品の審査を受け、町の特産として展示即売をしたのが、焼物のスタートで、其の後、全国土産品連盟の推奨をいただき、全国のデパートなどで、販売を致しました。
長年、手作りで作品を作っているうちに、土、作り方、火の焚き方等々により、不思議な波動を有する焼物が出来る事に気付き、現在、其の方法を取り入れ、アクセサリー等の作品と組み合わせ、種々の作品を作っています。
(文:田代 芳郎/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P54-55より)