現在から未来にも必要とされる伝統工芸品として
印染とは法被、手拭、のれん、旗、のぼり、などに家紋又はユーザーの名前やロゴを入れて染色する業種であり、着物などの染色法とは違い主に綿布を染色します。全国的にみると業種は少ないけれど、各県に散らばって存在しています。
当社の仕事は祭半天が最も多く、浅草三社祭や地元の祭りなどに使用され、発注元は神社、自治会、神輿会、企業などです。
初代当時は大工、植木、製作所などの職人の半天が主だったそうですが時代の需要と共に内容も変わってきています。ただ揃いの法被で団結を形にするという点では今後も変わらないでしょう。
手仕事の工程はまず印入りの型を制作し、もち米と糠で作った防染のりを型で抜き布地に付けます。乾燥後、染釜に漬け込み染色、大量の水でのりを落とし乾燥後、縫製します。工法的には奈良時代から伝わる技法ですが、素材、染料、薬品など、時代と共に変化しているので伝統工法を残していくのは年々難しくなっています。
しかし次の代に伝えられるよう日々精進し、現在から未来にも必要とされる伝統工芸品となるよう努力して行きたいと思います。
(文:福井 規悦/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P66-67より)