出会いと教えに心から感謝
筒描藍染とは、もち粉とぬかを蒸して作った防染糊を渋筒に入れて手で絞り出しながら模様を布に描いて藍染する技法です。
東京でサラリーマン家庭に生まれ育った私は、大好きな絵を描くことを職業にしたいと思い、25歳で東京手描友禅の門をたたいて以来、ずっと染色の世界に住む喜びを感じつつ、今年で31周年を迎えます。その間に私には大変お世話になった師が3人おり、絵を描く基礎は彫刻家の故植草永生先生に、糊置きは東京手描友禅模様師の故鈴木敬司先生に、そして藍染は県無形文化財の故日下田博先生に学びました。残念なことに3人とも故人になってしまいましたが、どなたを欠いても今の私は存在しないので、出会いと教えに心から感謝し、この技術は次に伝えなくてはいけないものとの使命感を強く感じる今日この頃です。
特に手仕事会の大先輩である日下田博先生と正先生には26年の長きに渡り、大変お世話になっており、おかげ様で38歳の時には、私の目標にしていた「茶屋染」という最も細かい作業を要する藍染で文部大臣奨励賞をいただき、以降毎年発表出来る喜びに心より感謝致しております。
今後も精進してまいりますので、手仕事会の皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
(文:若菜 萌/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P82-83より)