アートセンターサカモト 栃木文化社 BIOS編集室

「伝統と文化―下野手仕事会―」No.39

下野手仕事会、さくら市の建築遺産「瀧澤家住宅・鐵竹堂」で、初の長期開催

下野仕事会の展示会がさくら市の栃木県指定文化財「瀧澤家住宅・鐵竹堂」で開催された。

鐵竹堂は明治時代の建築をそのままに保存されている建築遺産で、ここを会場にした展示会は今回は初めて、3週間という長期にわたる展示も手仕事会にとって初めての試み。


さくら市 瀧澤家住宅


藤田眞一会長は「手仕事会の会員は伝統に基づいた作品づくりをしている。鐵竹堂という歴史的建造物の空間の中に展示されることで、伝統工芸品の良さをみなさんに感じてもらえるのはないかと思っている。夏休み期間なので、子どもたちに伝統文化にふれてもらえる機会になればうれしい」と話していた。次回の展示会は、9月20〜24日、栃木県立博物館で開催される。

鐵竹堂での展示会には21人の会員の作品が展示された。今回は、「表具」の栗田英典さん、「印染」の福井規悦さんを紹介する。

表具 栗田英典さん

表具・表装は千年以上も前から受け継げれてきた伝統技能。和紙、裂地(表具に用いる布)、糊を用いて書画の掛け軸や屏風など美術工芸品の仕立てから襖や壁装(壁に和紙を下貼りし、上貼りに手漉き和紙や布を貼る)など実用的な分野まで幅広い仕事を担う。

「完全な手仕事で、100年経ったものを昔のままの状態に蘇らせる仕事です。光の当たり具合で、表面に描かれた柄が消えたり、浮かび上がってきたりする伝統的な手法があります。上品で奥ゆかしい日本古来の美を感じることができます。この仕事は、和紙や布、糊など素材の良さを生かすことが大切です。本当に良いものは何年たっても、その良さは変わらない。そういうものを残していきたい。これからも出会った仕事に全力で取り組んでいきます」

印染 福井規悦さん

印染とは、法被、半纏、のれんなどに家紋やロゴマーク、屋号を入れて染色する。奈良時代から伝わる技法で制作する。

「私で4代目となりますが、初代からの手法を守りつつ新しい手法、染め方を取り入れて現代に合った商品をつくっています。現代に必要とされるものをつくっていかないと残っていかないと思います。刺し子の生地に柄を入れた消防の半纏を染めていましたが、だんだん消防の用途がなくなってきてしまった。私は刺し子の生地が好きなので、その生地で小物、バックをつくるようになりました。新しい手法、商品を見てもらって、使っていただけるようになるとうれいしいですね」


次回開催は9月、栃木県立博物館にて行われる。