“結ぶ”を楽しむ
マクラメとは繊維素材を使ったさまざまな作品の中でも機会や器具を使わず、手だけで縦糸を糸どうし交差させて結ぶことによって面を作り出していく技法です。
さらに、糸を自由に増減させたり曲面や立体も制作することが可能なので現在の多種多様な糸素材の取り入れ方次第で幅広い表現の可能性のある技法だと思っています。
マクラメの語源をたどると、ベールをさすアラビア語(英語辞書より)に由来し、英語に転訛し糸を結んで作った物を総じて「マクラメ」と言い慣わされているとのことです。
日本での歴史も古く、正倉院の御物(天皇のお使いになる品物、皇室が持っている品物)や、鎧や馬の鞍、魚を取るための網などに残されています。
私とマクラメとの出会いは25年前頃、子どもたちにせがまれプロミスリングやストラップを作ったことです。
また見様見真似で植木鉢カバーや茶托、タペストリーなどの創作を続けていくうちに、糸を結ぶことでいろいろな表現ができることに楽しさを感じるようになりました。
その後、主人の海外赴任(タイ・バンコク)があり同行しました。現地での友だちとの出会いにより、教わりながら一層結ぶことでの表現に驚きとおもしろさに魅せられて、変化していく様に時間も忘れて結び続けていたことを思い出しました。
まだまだ幅広い表現の可能性があると考えていますので、自分自身の技術の向上を想像力と好奇心で、多種多様に挑戦したいです。そして日常生活の中で“結ぶ楽しみ”を伝え、いろいろな人との出会いがあれば幸いに思います。
(文:卯野 サチ子/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P24-25より)