アートセンターサカモト 栃木文化社 BIOS編集室

「電子版パリ通信」No.79

天竹博子(あまたけひろこ)アマタケ・アート協会代表、アート・コーディネーター

美と歓喜のライフスタイルの追求

《美と歓喜》というと、ギリシャ神話の神々の楽園(シャンゼリーゼ)を思い浮かべる。天竹に会うたびにこの言葉が良く出てくるし、それを既に実践しているのがうかがえるが、彼女の意図しているのは何だろう。それは単なる快楽主義ではなく、一人の人のこの世における一つの生き方のスタイルだと思う。

人生は芸術であり、彼女の夢は誰もがこの美と歓喜のライフスタイルを実践し、理解して人生を生きる真の意味を、このライフスタイルを実践する事で享受できる様にする事だと思う。

人間の失われつつある《美と歓喜》を求め実践する女性、日本を長く離れた天竹がこのフランスでシャンゼリーゼを実現しようとするのだろうか。私(筆者・画家)もこのイベントに招待され、1週間(2022年10月10日-16日)を通し、彼女の立場とそこからくる強い意志を毎日感じた。

アート・コーディネーター天竹博子

アマタケとトモコ(作品の前で)

筆者Tomokoと作品

リセの生徒たちが作ったツマミ

6区の区長Monsieur Lecoq(写真右) とPascal Niau がこのイベント合同展の為に描いた『明かりと再会の喜び』

Grete Berg Stenmark はノルウェーから参加

イベント趣旨

最初にこのイベントのカタログ冒頭に天竹の趣旨として書かれているものをそっくり掲載したいと思う。

「ようこそ今秋、10月10日から16日に私のアマタケ・アート協会でパリ6区の画廊、セーヌ通り25番地でイベント合同展を主催します。2年のロックダウンを経て私に何が出来るか、どうしても伝えようと思った私の日々モットーとしている《美と歓喜のライフスタイル》を今回のテーマ《新地球はいつもお祭り》人類交響楽、人間讃歌を通じて発信し、参加者、観客の皆さんに希望で輝く近未来をイメージしてもらえたらいいなぁ~と思い、それとアーティストの作品が売れる事も大変重要なので、楽しみながら競売も企画しました! 各分野のエキスパートが思いきり力を発揮し、パリ中を巻き込む楽しい歓喜のお祭りに、又、人間愛を凝縮し、周りと調和し、人類交響楽を奏でていく楽しいイベントにしていきたいと想っています。では、皆様と画廊、新地球でお会い出来る事を楽しみに。天竹博子」

盛りだくさんのプログラムを毎日怒濤の如く行った彼女はまるでドラクロアの〈民衆を導く自由の女神〉の様だった。「このイベント合同展は以前から計画していましたが、ロックダウンが明けてから具体化し、形になったのが今年の6月です。ヴァカンス前だったので、10月に行う為にはリミットでした。この短期間に私に何ができるか、私のネットワークの芸術家達に私の趣旨を理解してもらい、波長の合うアーティスト、また、日頃から応援支援したい芸術家を選び構成しました。《美と歓喜のライフスタイルの追求》、近未来に明るいイメージと希望を持って新地球を迎えるというのが主な趣旨です」

前代未聞と言われた参加者の顔ぶれ

パティシエでMOF(Meilleur ouvrier de France フランスの国家最優秀職人章)を取得し、フランス料理アカデミーの名誉会員であり、画家でもあるPascal NIAU、ノルウェーより参加した画家Grete BERG STENMARK、書道家であり画家のMakiko ASSAÏ、画家Rui OWADA、彫刻家Junji KOITO (NAC日本人アーティストクラブ会長)、彫刻家Sophie OISLINE、画家Tomoko Kazama-Ober、写真家Dimitri TOLSTOÏ(文豪レフ・トルストイの曾孫でパリ郊外在住)、写真家Gilles FEY、写真家Juan Manuel・ABELLAN、写真家 Masafumi NOMOTO(パリのレストラン国虎屋オーナー)、物故者の画家Kojiro AKAGI (Le Galerie du ParisオーナーのJean Luc MASSONによる参加)、物故者の画家MarieThérèse DELANNOY(後述のピアニストの姉)、ピアニストNicole DELANNOY、ジャズピアニストIzumi EBARA-EVAIN、アコーディオニスト Hiroko ITO と三味線 Harugin SAWADA のデュオ、書道Mariko・ASSAI、茶道Yuko TAKAOKA、YogaダンスCaroline ANDRY、創作ダンスDiane CHERY、講演《美と歓喜》哲学者・作家―Emmanuel JAFFELIN、詩作―Anna THOMAS、映像―Sophie SALIOT-MARIE

Olivier MOUTON(ワインバー、レストラン Les Gouttes de DIEU, JAJA オーナー)、Masafumi NOMOTO(レストラン国虎屋オーナー)、Paula De Freitas(ポルトガルのホテルとワインオーナー)達からの飲み物や差し入れが山ほどあった。特につまみはLycée ProfessionnelVal de Bièvre(ホテル、レストラン、ガストロノミー料理職業訓練高校)に注文し、その他に名を書き上げることが出来ない人びとの協力があった。

それぞれの立場で力を発揮、協調性が大切

「13日の午後、François WEDRYCHOWSKI氏による競売があり、8点ほど競り落とされ、その他画廊で売れたのが9点で合計17点の売り上げがありました。展覧会で絵が売れる事が大事な成功の条件なので、とても嬉しく思います。このイベントをとにかく楽しく、芸術センターとして各分野で多動的な行動ができる人と行ったのが良かったです。画廊がパリの6区にあるので区役所の区長Monsieur Jean-Pierre LECOQ を招待し、 来廊されたのですが、競売最中のタイミングだったので、ゆっくりと鑑賞して頂けなかったのが心残りです。私の使命は今後も協賛で美術関係者の応援を続けることです。自分のリズムと好みの作家で自分と波長が合う人を選びます。やはり困難だったことは人との関係です。

仕事のために協力し合えれば一番いいのですが、良かれと思った人が「私が私が」 になってきて支障が出てきたこともあり、結構ストレスになりました。やはり協力してもらわないと何も生まれないし、それぞれの立場で力を発揮し、協調性が大切で、自己中心の人は駄目です。大成功の内に終わり、私は成し遂げたという安堵感、画家さん達に貢献出来たという思いと皆なに喜んで頂いたという事。その後もお礼の言葉や素晴らしいコメントが送られてきています」と満足な笑顔があった。


天竹博子履歴概略

1972年 日本で学生生活終了後、香港にフライトホステスとして行き、訓練を受け、2年間勤務後、鼓膜破損が原因で退社

1974年5月 バカンスで渡仏し、仕事のプロポーズがあり、ホテル接客係として半日勤務しあと半日はソルボンヌで仏文学専攻する。それ以来、フランス在住。

1976年 プラスヴァンドームの宝石店に労働許可証を取って貰うと言う条件付きで4年間勤務。

1980年 宝石店からユーロペンテルの社長秘書として職がわりし、1984年まで勤務。

1981年 フランス人男性と結婚

1985年ー1987年 省庁、日仏企業、美術館、OECD、日本大使館等の通訳、翻訳、コーデイネイターとしてフリーランスで働く。

1987年ー2000年 フランスの保険仲介会社の日本課創設に伴いヘッドハンテイングされエグゼクテイブアシスタントとして働く。

2000年ー2007年 コミュニケーション、国立住居建築応用法律経済学院、不動産法、経営学、ウエブデザイナー研修等学ぶ。不動産投資、レンタル経営。

2007年 アマタケアート協会創設。現在に至る。


カタログ

https://fr.calameo.com/read/005177875b07644800e99

※天竹の以前のインタヴューが「電子版巴里通信」No.65にあり、彼女の別の面を見ることが出来ます。

TOMOKO KAZAMA OBER(トモコ カザマ オベール)

TOMOKO KAZAMA OBER(トモコ カザマ オベール)

1975年に渡仏しパリに在住。76年、Henri・OBER氏と結婚、フランス国籍を取得。以降、フランスを中心にヨーロッパで創作活動を展開する。その間、78年~82年の5年間、夫の仕事の関係でナイジェリアに在住、大自然とアフリカ民族の文化のなかで独自の創作活動を行う。82年以降のパリ在住後もヨーロッパ、アメリカ、日本の各都市で作品を発表。

主な受賞

93年、第14回Salon des Amis de Grez【現代絵画賞】受賞。94年、Les Amis de J.F .Millet au Carrousel du Louvre【フォンテンヌブロー市長賞】受賞。2000年、フランス・ジュンヌビリエ市2000年特別芸術展<現代芸術賞>受賞。日仏ミレー友好協会日本支部展(日本)招待作家として大阪市立美術館・富山市立美術館・名古屋市立美術館における展示会にて<最優秀審査賞>受賞。09年、モルドヴァ共和国ヴィエンナーレ・インターナショナル・オブ・モルドヴァにて<グランプリ(大賞)>受賞、共和国から受賞式典・晩餐会に招待される。作品は国立美術館に収蔵された。15年、NAC(在仏日本人会アーティストクラブ)主催展示会にて<パリ日本文化会館・館長賞>受賞。他。