新型コロナ第5波は終わった。そう期待したい秋田は今、冬眠前の熊で里山が賑わっている。そして、秋田が生んだ-正確にいえば秋田の親が生んで横浜市民が育てた菅義偉首相の任務も終わった。感染者、死亡者数は低く、東京オリパラも結果オーライなのに、あの訥弁では選挙に勝てないと引きずり下ろされた。まだやりたいこともあったろうが、政権を握っても思い通りにならぬが世の常。1年で充分だ。ご苦労さん、ガースー。
月2、3回、週末のコロナワクチン集団接種にかりだされている。高齢者はとっくに終わり今月に入って高校生が増えてきた。秋田県では中学生への接種は8月末終了の自治体から、10月中旬開始のわが潟上市までばらつきが大きい。小学生以下に至っては混沌としており、私の如き精神科医は小児科の先生にお任せとダンマリを決め込んでいる。
その小学生、6年生にとって最大行事の修学旅行は昨年、対応が分かれた。あっさり中止した学校、県内を日帰り観光した学校、田沢湖芸術村(わらび座)に泊まってミュージカル観劇後に役者たちと交流した学校など多彩だった。
ある教師は、どうせ県内なら生徒たちにドッジボールならぬ「枕投げ」をやらせようと古い旅館を探し出した。夕食終了後、この教師は寝室代わりの大広間で生徒たちに告げた。「枕はコロナウイルスだと思え。受け損なったり当てられたりしたらそれが感染というものだ」…帰ってきた子が「あんなに楽しかったのは生まれて初めて」と喜ぶ姿に「13歳で生まれて初めてには参った」と親は驚いた。
逆に悲惨な例もある。参加、不参加を選ばせた学校だ。あるクラスでは3名が親の意向で参加を取りやめた。だが卒業が近づき『思い出のアルバム』編集の段階で関係者は頭を抱える。旅行の集合写真に3名がいない…。人生いろいろ、人もさまざま、後悔先に立たず。菅首相もその親たちみたいに苦い思いをしていないか。些か心配である。2021/10/19
如意輪寺の彼岸花(岩手県北上市)
小安峡(秋田県湯沢市2017年11月5日)
小安峡(2021年10月17日)菅義偉首相の生地に近い
写真撮影:大日向かなえ
21-09-28 レター63