1月半ばの3連休、初日と3日目は田沢湖スキー場だった。雲ひとつない青空に真っ白の秋田駒ケ岳がくっきり映え、ドキっとするほど美しい。最近、場内放送に韓国語と中国語が加わり、政治とマスコミではあまり仲の良くない国どうしだが、国民レベルだと話が違うようだ。
学生時代、高校同級生らと田沢湖スキー場に連泊したことがある。うち1人は東医体(東日本医科学生総合体育大会)のスキー選手で、高校時代から冬場は顔が煙突の煤みたいに日焼けしていた。競技スキー一筋の彼は我々のような遊びスキーを知らない。目的もなくゲレンデを滑って何が面白いのかということもあった。こういう手合いは厄介である。彼は圧雪していない急斜面の難コースを蝶が舞うようにすいすい滑って、遥か下から「お~い、もたもたするな。風邪ひくぞ!」と怒鳴る。もともと短気で落ち着きのない多動男だったが、スキー場でも同じだった。後年、こうした性格傾向が原因と思われるうつ病になって、その時ばかりは小生の軍門に下った。
大学の某後輩も東医体のスキー選手だった。大会では本番前の2日間、選手にコースを徹底的に記憶させる。猛スピードのためカーブを覚えておかないと危険だからだ。夜も頭の中でコースをなぞりながら眠りに就く。そして本番。彼はスタートして3秒後に記憶を失い、気が付いたら病院のベッドだった。またある時は一緒に滑っていて私の視界から忽然と消えた。ゲレンデのコース外に拡がる新雪に向かったのだが、あいにく雪の下に小川が隠れていて、ニアミスどころかまっしぐらにそこへ飛び込んでしまったのである。彼は私の滑りを「先輩は今のままがいい。スキーはスピードが一番です」と評価してくれた。同じ多動児として私は今もその言葉を大切にしている。
田沢湖スキー場は私たち多動組以外の普通のスキーヤーやボーダーにとって冬場の故郷である。今年もモーグルW杯など種々の大会が予定されており、県外の皆さまにもパウダースノーの感触と共に楽しんで頂きたい。どうぞお運びを!
田沢湖スキー場~遠方に田沢湖
リフトの遠方に白く光るのが秋田駒ケ岳
自撮りに挑戦~頂上付近の「銀嶺コース」を背景に
寒風山から見た初日の出(右手は日本海)