さらに研鑽を重ね、後継者の巣立ちに尽力したい
振り返ってみますと、平成10年の秋、「野州てんまり」の中山先生が、宇都宮市内の福田屋デパートで実演をされているのに出会いました。
きれいな刺繍糸を使い、すばらしい模様をさしている姿に、見入ってしまい、しばらくは、声もかけることができませんでした。
その後、教室を見学する機会に恵まれ、会員の皆さんが、大きさの違うさまざまなてんまりに、刺繍糸できれいな模様をさしている姿に感動し、すっかり魅了されてしまいました。
その場で、てんまり、針、糸を渡され、模様をさしたのをきっかけに、気がつけば、15年の月日が流れ、その間、何度か壁にぶつかったり、困難から立ち上がるのに苦労する時もありました。
この40年という記念の年に、下野手仕事会への入会のお声掛けを頂き、さらには、栃木県伝統工芸士の名を頂くことができました。未熟な身には、身に余る光栄であるとともに、その責任に身が引き締まる思いです。
中山先生が、永い年月をかけ、不動のものに育ててきた「野州てんまり」を、私達がさらに研鑽を重ね、成長するとともに、一人でも多くの後継者の巣立ちに、尽力していきたいと考えております。
(文:赤池 民子/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P20-21より)