のんびり好きなときに仕事を
昔の親父は良く働いたものです。朝早くから夜遅くまで、朝はめし前に一仕事昼間は普通に働いて、夜は夕食後10時11時ごろまで働いていました。そんな親父を見ていて学校から帰ると仕事場に入り、仕事の手伝いをしたものだった。そのうち親父も私の仕事を見ながら「お前は器用だなー」なんていいながら笑うんです。何となく仕事を手伝ってくれる自分の倅に、うれしかったんだと思います。
その後、手伝ってくれると思うから学校から帰ってくるの待って仕事を作って待つようになりました。仕事を手伝っていると親父はなんともいえぬうれしそうな笑顔になるんです。
そんな親父と仕事をしていて、何となくこんな仕事をしてもいいかなんて、深い考えもなくべっ甲職人になりました。呑気なことを言ってるようだが、職人の生活は楽ではありませんでした。家族のみんなには苦労をかけました。家内には人の二倍も三倍もかけました。今になると唯々感謝の気持ちしかない。子供等も早々に一人立ちして出て行きました。うれしいような淋しいような気持ちです。残り少ない人生これからは、のんびり好きなときに仕事をしたいと思います。仕事ができないときは永い眠りについたときかもしれません。
終わりになりますが、私にとって下野手仕事会は特に楽しい会であったことが思い出されます。毎年出かけた親睦旅行、新年会、展示即売会等々の行事に参加させて頂き、思い返せば楽しい事ばかりでした。
また、お別れをした会員の方々は常に良い人達でした。今でもお一人おひとりの顔が直ぐ目に浮かびます。後、何年お世話になれるか分かりませんが、1年でも長く元気に会の皆さまとご一緒できればと思います。今後も会の発展を祈念する者です。
(文:田中 昭二/下野手仕事会40周年記念誌『下野手仕事会四十年之軌跡』P58-59より)